会長ブログ

成功への情熱105

共生と循環の法則
 塾長は野生のチンパンジーの例をあげて、この世界には再生産の連鎖を維持する、共生と循環の法則が有るとおっしゃっています。しかし人間だけがこの共生と循環の法則を守っていません。すべての生物は共生し調和の取れた世界を作っていますが、人間だけがその調和を壊しています。大量の石炭や石油を燃やして二酸化炭素を放出し、大気の温度を上げ海面上昇や異常気象をもたらしています。また多くの森林を破壊して、そこに住む多種多様な動物や植物を絶滅させています。
 人類は幸せを求めて科学技術を発展させ、多くのエネルギーを手にして生活を豊かに変えて来ました。人間には成長意欲が有ります。どこまでも際限なく成長したいと願います。しかし他の生物を滅ぼし、地球環境を変えるようではいけません。調和を取りながら成長しなければなりません。
 私は製造業に従事してまいりました。少しでも働きやすい会社を願って工場を建て、設備を入れて社員を採用してきました。果てしない拡大への挑戦でした。同業他社との競争に打ち勝つための拡大でしたが、本来はそれではいけないのだと思います。同じ品物で同じお客様を奪い合うのであればどちらかが勝ち、どちらかが負けるサバイバルゲームになってしまいます。本来ならば同業他社がやっていない分野や製品で、お客様に喜ばれる製品やサービスを提供すべきだと思います。
京セラが発展したのは、それまで世界に存在していなかったファインセラミックの技術で世の中に貢献したからです。硬くて熱に強く、酸やアルカリに侵されないファインセラミックは半導体をはじめ、人工関節などありとあらゆる分野に使われるようになりました。
 共生とはお互いの強みを活かし、それぞれの立場で世の中に貢献することだと思います。それには他社にはない独自の強みを持たねばなりません。現在はそのような強みは持っていませんが、全社員がその重要性を認識し、つねに自己の研鑽に励めば、いつかは持てると思います。

稲盛和夫氏の著書「成功への情熱」の感想はこの稿を持って終わりました。
次回より同じく稲盛氏の著書「心を高める経営を伸ばす」についての感想をお送りします。

成功への情熱103,104

今必要なのが「正しい」組織
 現在弊社には7つの課が有りますが、上手く行っている課とあまり上手く行っていない課が有ります。上手く行っている課は纏まりが有ります。上手く行っていない課はバラバラな感じがします。それは協力体制や、残業時間のばらつきに現れて来ます。
 課長さんはすべて真面目で仕事熱心なのですが、コミュニケーションや仕事の任せ方に差があります。ある課長さんは仕事熱心で優しい性格のため、課員さんに無理を言わず自分でやってしまうところが有ります。そのせいか課員さんは自分の仕事だけするようになっています。そのことに付いて話はするのですが、なかなか課長さんの性格は変わりません。
 課に分けることによる弊害もあります。自分の課の仕事だけして、他の課にはあまり関心が無い人もいます。3時の休憩後に課長さんが集まって、人の貸し借りを話し合っているのですが、あまり上手く行っていません。課長さんは自分の課の事は分かりますが、他の課の事までは分からないからです。
 弊社には工場長がいません。全体を見る人がいないため、このようなことになっているのですが、いまだに選べずにいます。組織を作ることは大切ですが、誰をその長にするかはもっと大切です。候補者がたくさんいればよいのですが、不安が有ってもお任せするしかないのでしょうね。
 現在7つの課に分かれていますが、固定された組織ではいけないと思っています。所属している課の仕事を一通り覚えたら、他の課に移ってもらいます。いくつもの課の仕事ができるようになったら、課の垣根を取り払い自由に仕事ができたら最高だと思っていますが、我社の仕事の範囲が広いので、それはまだまだ先の事になりそうです。

アフリカ原住民の知恵
 アフリカの狩猟採集民では、狩の獲物はみんなに分け与えられるのですね。体力のある若い男は狩りに出かけ、女子供は近くの森で食べれる植物を探し、年老いたものは留守を守っているのでしょう。獲物をとらえたものだけが獲物を独占したら、年寄りや女子供はすぐに飢えてしまいます。これはある種理想の社会なのかもしれません。冨や財産に大きな不均衡が無く、平等な社会です。
 弊社でも体力や年齢に応じて仕事をすべきだと考えます。若い男の人は体力が必要な仕事を、女性は力のいらない細やかな仕事を、年配者はそれまでの経験を活かし頭脳を使う仕事を、そして高齢者は体力のいらない仕事をすべきだと思います。
 仕事ができる人ばかりが優遇されるのではなく、それぞれの状況に応じて適切な仕事と、それに応じた報酬が支払われる職場にしたいですね。

成功への情熱100,101

自分で道を照らす
 塾長が言われるように、経営者の仕事は暗闇の中で自社の進む道を照らしだすことです。先で行き止まりになっているのか、大きく広がる道なのか、はたまた断崖絶壁が待ち受けているのか誰にもわかりません。自分のこれまでの経験と勘を頼りに、必死で進むべき道を探りだすしかありません。
 リーマンショックまでは、自社の進むべき道はおぼろげに見えていました。優れた機械や設備を導入し、高い精度と効率でお客様の納期・品質・価格を満足させることです。当時はお客様の納期を守らなかったり、不具合品対策に熱心でない下請け企業がたくさんありました。弊社はその中で納期を守り、品質を高めることで注文を取ってきました。しかしリーマンショック後は厳しい環境の中で、納期や品質を守るのは当たり前のこととなり、そのようなことでは差別化を図ることはできなくなりました。
 またリーマンショック後は、弊社の板金プレス業は衰退業種であることがはっきりしてきました。弊社が関連している業種は、今後一本道で成長して行くことはないでしょう。弊社が今後生き残るには何かを変えて行く必要があります。何をどのように変えればよいのか分かりません。いろんな会合に顔を出し、展示会にも行くようにしていますが見えて来ません。いろいろと活動していけば、様々な出会いが有ると思います。それまで社内を整備し、じっくりと力を蓄えたいと思います。

無私の心が人を動かす
 私利私欲だらけで無私とは程遠い状況ですが、少しずつ私情をはさまなくなってきたように思います。以前は決められたルールを守らずに作業をして、不具合品でお客様に迷惑を掛けた作業者を自己の感情で叱っていましたが、最近ではその作業者のためを思って叱ることもできるようになりました。
 かつては売上を上げようと社員に呼び掛ける時に、私情が混じっていました。会社が大きくなることに自己満足をしていたのです。今は違います。売上を上げて会社を大きくしたいのは、社員の皆さんにもっと満足してほしいからです。
売上を上げなければ給与や賞与を上げることはできません。また設備投資をして作業を容易化し効率化を図る必要が有ります。内部留保を厚くして危機に備え、商品開発や技術開発に投資しなければなりません。
もし会社が大きくならなければ、若い社員には後輩がおらず、いつまでたってもリーダーになることはできません。会社が大きくなることは企業にとって必要な条件なのです。だから売上を上げることを、従業員の皆さんに堂々と要求できるようになりました。どこまで私情を減らして、無私の境地に近づけるか、私にとって大きなテーマです。

成功への情熱99,100

経営者の望み得る最高の代償
 本当に小さな鉄工所からスタートしたので、私の願いは何とかして普通の会社にすることでした。利益が上がらないため待遇をよくすることができず、採用しても多くの方が辞めて行かれました。私にとって、辞められることほどつらいことはありません。仲間だと思っていた人に去られる寂しさと、自分自身を否定されたような空しさで、涙を流したことが何度もありました。
 2年前に辞められましたが、55歳で入社され25年間勤務されたOさんという方がいます。とても仕事熱心な方で、自分はこの仕事が好きだと何度も言ってくださいました。23歳年上なので母親のように、社長こうしたらいいですよと、アドバイスをいただいたことが何度もありました。このような方がいることは、私にとって大きな励ましでした。
 仕事を初めて40年以上がたち、会社はある程度大きくなりましたが、規模が大きくなることの喜びよりも、弊社に在籍する方々に喜んでもらえる方が、何倍も嬉しいことを実感するようになりました。つい1週間ほど前に社内の食事会が有りました。イタリアンレストランで雰囲気も良く、皆さんとても楽しそうでした。そして欠席者は1名だけでした。会社の雰囲気がだんだんと良くなってきているのを感じます。
 私はこの会社をもっと大きくしたいのですが、それは今ここにいる人たちにもっと喜んでもらいためです。もっと大きくすれば、給与水準を上げるし待遇もよくできます。今の若い人たちにも後輩ができ、管理者になることができます。仕事の内容ももっと難しくなり、やりがいを感じられるようになるでしょう。あと何十年かかるか分かりませんが、理想の会社を作り上げたいと思います。

完全主義を目指す
 毎月6000点ほどの板金部品を製作していますが、不具合が10件近く出ています。難しい不具合はごくまれで、ほとんどが簡単な見落としや勘違いによるものです。そして同じような不具合が何度も再発しています。
 不具合による損失は、少なくともその製品の価格の数十倍から、物によっては数百倍に達するものまでありますから、何としてでもなくさなければなりません。不具合が出たらすぐに部課長が集合し、担当者に対策書を書いてもらい、生産会議で厳しく追及するのですが、一向に減りません。完全主義には程遠い状況です。
 図面の修正やマニュアルの整備、5Sの徹底などやるべきことはたくさんありますが、一番大切なのは社員の教育です。不具合を出すことはお客様に大変な迷惑がかかることを全員が良く理解し、常に完璧な仕事を目指す高い意欲を持ってもらえるように、教育を進めて行きたいと思います。

成功への情熱97,98

「厳しい経営姿勢をとる」
 私はこれまで厳しい経営姿勢を取ってきませんでした。それは自分自身の甘さによるものです。厳しいことを言って嫌われたくないとか、あまり厳しいことを言うと辞めてしまうのではないか、などと思ってしまうからです。また高い経営の理想を持っていなかったためです。そこそこの売り上げで満足し、自分の枠を超える努力をしてきませんでした。
 そのような経営をしていた時に、リーマンショックに遭遇しました。一挙に売り上げが半分になり、このままでは1年持たないと思いました。新規営業開拓、経費削減、従業員教育等あらゆることをやりました。リーマンショックのおかげで社内が締り、厳しい経営に舵を切ることができました。
 このところ第2子が誕生した社員さんが何人もいます。第3子誕生予定の社員さんもいます。35年ローンでマイホームを購入した社員さんもいます。そのようなニュースを聞くと、良い会社にしなければならないと強く思います。子供の世話などで休むことが多くなるでしょう。そしてたくさんのお金が必要になるでしょう。景気が悪いからと言ってボーナスを減らしてはいけません。リストラなんてとんでもないことです。今後20年、30年と続く会社にしなければなりません。
 来年には社長を交代します。次期社長は45歳、勤続16年中途採用の社員です。経営者はその時、最もふさわしい人物が成るべきだと考えています。今回は私が使命しましたが、次回は意欲のあるものが経営者を目指し、社員の総意で選ばれてほしいと思っています。みんなが努力し、その努力にふさわしい地位と報酬が得られる会社を目指したいと思います。

「真の引き際を判断する」
 これまであまり冒険をしてこなかったため、撤退の決断を迫られたことは1度しかありません。それは10年前に経営コンサルタント会社のお誘いで、新商品開発を手掛けた時の事です。1000万円以上のお金をかけ、1年以上にわたって開発したのですが成果は思わしくなく、リーマンショックが来たこともあり結局撤退しました。しかし全く無駄ではなく、次の開発には必ず役立つと思います。
 私は今月で66歳になってしまい、自分の引き際を判断しなければならなくなりました。66歳では早いという方もいますが、バトンタッチ期間を5年とすると、71歳になってしまいむしろ遅いくらいだと思います。
バトンタッチするには多くの課題を抱えています。これまでのようにほとんどを社長が判断するのではなく、ある程度合議制になるでしょう。そのような合議制がうまく機能する組織にできるのか。今後売り上げを維持し拡大できるように、商品や技術をイノベーションしていくことができるのか。従業員が社長になる場合、借入金に頼るような経営はできなくなりますが、余裕のある財務体質にできるのか。株はどうするのか。等々です。
相続も絡んでおり容易ではありませんが、多くの人の意見を取り入れ、着実に進めて行きたいと思います。