京セラフィロソフィ45「開拓者であれ」
父からプレスの仕事を引き継ぎましたが、父は本職の傍らでプレスをやっていたので、ほとんど独力でプレスの仕事を覚えました。金型も必要に迫られて、機械がほとんどない中、見様見まねで作りました。プレスの先行きが怪しくなり、板金に参入しましたが、全く板金の技術はなく、本当に手探りで進んできました。
しかし開拓と言えるものではなく、他にお手本が有りそれを参考に進んできただけです。世の中にないことや人のやらないことに、本能的に恐怖を感じていました。お金や資源の無い中で、成功するかどうかわからないものは、博打のようなものだから、やってはいけないと思っていたのです。
長年の失敗を恐れ安全策優先のやり方が、現在の特徴がなくこれといった強みのない会社にしてしまいました。失敗をするから良くない個所が分かり、進歩させることが出来ます。安全ばかり優先すると、危険な個所が見えず、無駄が多くなってしまいます。
全くやったことのないことを、いきなりやるのは無謀です。初めは身の回りの事から少しずつ、人がやらないやり方に変えて行くべきです。運搬台車や金型棚をまったく斬新なデザインにするようなことから始めて行けばよいと思います。
失敗の方が多いかもしれませんが、失敗することで何が悪かったのか分かります。小さなことから始めて、全員が新しいことや、誰もやったことのないことに、喜んで挑戦するような、そんな社風にしていきたいと思います。
京セラフィロソフィ46「もうダメだという時が仕事のはじまり」
コンサルタント会社に開発候補を選定してもらい、4・5名でチームをつくって、商品開発に取り組んだことが有りました。1年ほど取り組んだのですが、開発はうまく行かず、そのうちにリーマンショックが始まって、あっさりと断念してしまったことが有ります。
相当のお金を掛けたのですが、続けられなかったのは、思い入れが小さかったからです。開発商品の選定が人任せで、そこにどうしてもこれを成功させよう、という強い思いが有りませんでした。また進めるにあたって、類似品の調査や関係業界の方の意見聴取などの不充分でした。また私が設計メンバーに入っていたため、設計に充分な時間を掛けることが出来ませんでした。
このことから学んだのは、何かを始めるならきちんと準備をして、何のためにやるのかを明確にすることです。売上を上げたい、もっと儲けたいといったいい加減な目的なら、何かあったらすぐにあきらめてしまいます。何が何でもやり遂げたいと思えば、少々のことではあきらめたりはしません。
今のところ決まっていませんが、今後何かやるべき時が来ると思います。その時は何が有っても絶対にあきらめない、そんな強い思いで取り組みたいと思っています。