会長ブログ

心を高める経営を伸ばす105,106

稲盛和夫塾長の著書「心を高める経営を伸ばす」の感想を書いてきましたが、本項を持って終わりとなりました。
次回より同じく稲盛塾長の「京セラフィロソフィ」に付いての感想をお載せいたします。「京セラフィロソフィ」は3回目となります。どうぞよろしくお願いします。

「大きな愛にめざめる」
 とても大きなテーマです。目の前の事に振り回されてきた自分にとって、広く周りに対して愛を持つのはなかなかできることではありません。家族に対しても仕事が忙しいのを言い訳にして、なるべく面倒なことを避けて来ました。経営者が仕事に忙しいのは当たり前ですが、もっと出きることが一杯あったはずだと反省しています。
 塾長が高卒新入社員との団体交渉で、経営の目的を稲盛和夫の技術の実現から、従業員の物心両面の幸福の実現に切り替えられたエピソードをテープで聞いて、私も腑に落ちるところが有りました。私は仕事を通じて幸せになりたいが、それは従業員さんも同じだ、経営の目的はみんなが幸せになることだと、心から思ったのです。
 自分だけが幸せになろうとしても、周りの人が不幸せなら、それは不可能です。みんなと一緒に喜べるから、自分も楽しいのです。従業員の皆さんも一緒だと思います。仲間と共に仕事をして、共に喜びあえればこんな楽しいことは有りません。そのために会社を大切にして、その先のお客様を大切にしたいと思います。

「苦労に値する代償を受ける」
 どんなに努力をしても成功するとは限りません。しかし無駄な努力はないというのが私の今までの結論です。努力をすることによって、何かが必ず得られると思うのです。成功しなかったとしても、その経験が次の挑戦に必ず活きると思います。また大きな努力を出来たことが、その人の大きな自信につながると思います。
 経営も同じかも知れません。どんなに苦労をしても、その代償を得られるとは限りません。大きな逆風が吹いて、それに耐えるだけでも大変だという場合もあるでしょう。しかし苦労して種を一粒ずつ撒いていけば、いつか必ず大きく育って行くと思います。
 なかなか育たない種を気長に、しかも地道に育てる苦労が必要なのだと思います。そのうちに大きくなってくれれば、勝手に成長してくれるようになります。また順風が吹いて掛けた苦労以上に育つ場合もあるでしょう。
 44年間この商売をやってきましたが、最近は苦労した以上に代償を受け取っているように感じています。たまたまいい風が吹いているだけなのかもしれませんが、地道な苦労を続けて行きたいと思っています。

心を高める経営を伸ばす103,104

「両極端をあわせ持つ」
 従業員と仲良くしたい、出来れば厳しいことは言いたくない。しかし仕事に打ち込んでくれない人や、不注意で不具合を再発させている人には、厳しく言わなければなりません。優しい人であるべきか、厳しい人であるべきか悩んでいた時が有りました。この章に出会った時、優しさと厳しさの両方を持たねばならないし、持たなければ良い経営はできないことに気づかされました。
 厳しく対処することが必要な時に躊躇しているようでは、その人の成長を妨げお互いに不幸になってしまいます。また触れ合えるせっかくのチャンスに、厳しい顔ばかりしているようでは、よい人間関係は作れません。
 経営においても同じだと思います。安全ばかり考慮して石橋をたたく経営をしていたら、大きな成長は有りません。むしろ時代に取り残されて消えて行くでしょう。かといって大胆すぎる投資や一か八かの決断ばかりだと、ちょっとした失敗や環境の変化であっという間に潰れてしまいます。
 中小企業は基本的に安全策を取らねばなりませんが、チャンスと見たら成功の確率が低くとも、思い切った決断をしなければなりません。広く見聞し、勉強を通してそのような能力を高めたいと思います。

「正しきを貫く」
 何かを決断する時、こちらの方が社会通念上正しいと判断する気持と、もう一方の方が責任や苦労が少なく、自分にとって楽だと思う気持ちが対立することがほとんどです。自分はどうしても楽を求めたがり、面倒くさいことや苦労することを避けてしまいます。
 しかし自分が楽な方を選んだ場合、結果は大概良くありません。もっと問題が大きくなったり、悪い状況を作り出したりすることがほとんどです。一時の自分の感情にとらわれるのではなく、先を見通してどのように行動すれば、一番良い結果を生み出すのかを考えなければなりません。
 正しきを貫くには、先を見通す力が必要です。1年後は良くても、5年後が良くなければ正しい判断とはいえません。10年後20年後も同様です。今年社長を交代しましたが、これは5年後10年後を考えると、今やらなければいけないと思ったからです。後継者は社員さんですから、社長はやったことが有りません。少なくとも5年は社長をサポートする必要があると思います。また株の引き継ぎには10年はかかるでしょう。
 正直社長を引退するのは、気が進みませんでした。何十年もやってきたことを辞めるのですから、さみしい気持ちが有ったのです。しかし後5年、10年と先送りしていたら、必ず大きな破綻が来ます。正しい判断をしたと思っていますし、正しい判断にしなければいけないと思っています。

心を高める経営を伸ばす101,102

「己をつくる」
 23歳で父の仕事を引き継ぎ、何とか良い会社を作ろうともがいていましたが、たいして利益は上がらず、社内は問題ばかりで悩んでいた時に「社長以上の会社にならない」との言葉に出会いました。
 会社の状況は社長の人格の反映であり、それ以上でも以下でもないことに納得しました。会社の現状は社長のすべてを表しているから、今が悪いのは仕方がないけれど、自分が成長すれば会社も必ず成長するのだと、希望を持ちました。
 社員を教育していて、教育とは何と難しいのだろうと嘆いたことが有りましたが、自分を教育するのは、それよりはるかに難しいことが分かりました。いろんな本を読んである程度は理解できても、それを身に付けるのは至難の業です。
 とりあえず小説の類は読まないことにしました。理念や経営に関する本が膨大にあります。また研修などで勉強せざるを得ない状況を選ぶ様にしました。勉強してみると知らないことだらけです。よくこんな状況で経営をしていたと、自分でも呆れるくらいでした。
 自分をつくるのは確かに難しいことです。しかし自分が少しでも成長すれば、会社もまた成長してくれます。それは自分にとってとても励みになります。日暮れて道遠しですが、諦めることなく己を作って行きたいと思います。

「心の修練を積む」
 経営者は常に心の平静を保たねばなりません。僅かなことであたふたするようでは、社員さんは付いてきてくれません。また経営者は常に判断を下さねばなりませんが、心が浮ついているようでは、正しい判断は下せません。
 自分は特に感情の起伏が大きいのかもしれませんが、心を平静に保つのは何と難しいのかと、いつも悩んでいます。調子のよい時は前向きで元気が良いのですが、上手くいかなにと落ち込んでしまいます。自分が試される大事な時に、上がってしまい実力を発揮できません。
 心の修練を積むしかありません。なるべく自分が試される機会を増やし、積極的に発言し、行動するしかないのだと思います。また中国の古典に良い言葉がたくさんあります。そのなかに「六然訓」という言葉が有ります。「自処超然、処人あい然、有事斬然、無事澄然、得意たん然、失意泰然」です。
 自分に執着せず、人には和やかに接し、何かある時はきっぱりと対処し、何もない時は澄み切っている。良い時はあっさりとして、失意のときも落ち着いている。このような境地には到底到達はできないと思いますが、目指して行くことに価値が有ると思います。

心を高める経営を伸ばす99,100

「経営に打ち込む」
 4か月前の8月1日に社長を交代しました。それまで全身全霊を掛けて経営していた訳ではありませんが、会長になってずいぶんと楽になりました。最終決断をする立場から、一歩引いて見守る立場になりました。
 以前から65歳までには交代したいと思っていたのですが、健康に不安が有るわけでもないし、社長の立場に未練が有って、ついつい先延ばしにしていましたが、ようやく66歳10カ月にして交替することにしました。
 後5年くらいは問題なく出来るでしょうが、いい加減に交代しないと業務に引き継ぎの時間が取れなくなります。一遍に全部の業務を引き継ぐのは無理なので、ある程度は分担しなければなりません。
 一番問題なのは株の問題です。息子や娘に渡すわけにはいきません。私がいなくなった後で必ず問題が起きます。社員さんにしか行き先がないのですが、そのやり方に良い方法が見つからないので悩んでいます。社員持ち株会などを考えていますが、多分解決に10年以上かかるでしょう。そのような意味で余り後伸ばしには出来ないのです。
 時間に少し余裕ができたので、なるべく展示会や工場見学会に参加をしています。さきほどの国際ロボット展はすごい盛況でした。2年おきの開催でもう3回は参加していると思いますが、ロボットの進歩には目覚ましいものが有ります。世の中の状況や技術の進歩を調査し、これからの経営の参考にしたいと思います。

「経営の姿勢を問う」
 もう17・8年以上前になりますが、自分の経営の姿勢に悩んだことが有りました。自分の私利私欲のために経営しているのではないかと思ったのです。会社は自分ひとりの力で成り立っていない、みんなが努力してくれるから、この会社が有るのだと思いました。
 それならば一番仕事ができる人間を次期社長にすべきで、息子を次の社長にするのは会社の私物化だと思ったのです。そこでみんなの前で「ここにいる人の中で誰かが次の社長になってほしい、息子は会社に入れない」と言いました。当時は誰も社長になりたがらないボロ会社で、誰一人私の話を真に受けた人はいなかったと思います。
 しかしこのような話をしたので、息子に経営の話をすることはありませんでした。4・5年前に次期社長を指名するときに息子の意思を確認したところ、僕はやらないといったので社員さんに次の社長になってもらうことにしました。
 幸い社員さんが受けてくれたので、社長を交代することができたのですが、中小企業の社長を引き受けてくれる社員さんは、少ないのではないかと思います。誰も引き受け手のない会社は、廃業かM&Aしかありません。M&Aは社風が引き継がれないので、なくなったと同じことだと考えています。
 新社長を傍らで援助しながら、自社が長く続いて行く方法を模索して行きます。

心を高める経営を伸ばす97,98

「組織を問い直す」
 会社は組織で運営すべきと考えます。社長一人で計画を立て、実行を指示し、進捗を管理し、実績を検討して次の計画を立てているようでは、真の会社組織とはいえません。みんなで考えて、みんなで実行するから、1たす1が3にも4にもなって、活性化した組織になるのです。
 残念ながら弊社は長らくそのような状態にありました。曲がりなりにも組織として運営できるようになったのは、この十数年です。組織をつくるには、管理職として役割を認識しているリーダーと、明確な社内規則が必要です。
 私一人で始めましたが、徐々に人が増えてきて、従業員が20名を越えるようになりました。私一人では管理ができないので、リーダーを任命したいのですが、ふさわしい人がいません。仕方がないので、社歴が長い人を順番に任命しましたが、上手く行きません。
 新卒で採用した人が7・8年して、管理職になってもらった頃から、少しずつ組織として運営ができるようになりました。また2004年にISO9001を取得して社内ルールを文章化するようになって、社内規則が徐々に明確になってきました。
 7・8年前から、経営計画書を各部署のリーダーと一緒に作るようにしました。自分たちで計画をつくるのですから、実行できるはずです。また進捗を管理するため、月初めに月例会議を開催し、先月の実績と反省・今月の計画を発表してもらい、他のリーダーから質問とアドバイスをもらいます。
 各部署長は責任を持ってしっかりやっていただいているのですが、部署間の協力体制がうまく行かず困っています。部署間で、繁忙の差が大きいのです。弊社には工場長がいないため、各部署間の人員をうまく調整出来ないのです。今後の課題です。

「目に見える目標を設定する」
 かつては私が過去の実績をもとに、5から10%積み上げた目標を設定していたのですが、上手く行った試しが有りません。世の中の景気に大きく左右されますし、社長が立てた目標を誰も気にしていないのです。
 今は各部署のリーダーで経営計画を策定していますから、目標は話し合いで決めています。達成できないと困るので、目標値はどうしても穏やかなものになりがちです。
目標が穏やかなものになるのは、自分たちの実力を過小評価している部分と、真に明確な目標が無いためだと思います。何かの部門で日本一になろうとか、世の中にないものをつくろうとか、マザーズやジャスダックに上場しようといった、明確な目標がないためです。お金はほしいけど、無理はしたくない等と考えるから、目標が穏やかなものになるのです。
 これまで断っていたような難しいものにチャレンジし、未経験の分野の仕事を取り入れ、実力を蓄えてみんながワクワクするような目標を立てていきます。