四年前から100km歩行大会に参加しています。きっかけはある勉強会の友人であるTさんから誘われた事からでした。正直100km歩く事に、何の意義があるのか、さっぱりわかりませんでしたが、熱心に誘われたので、軽い乗りで参加することにしました。
最初の大会では私は100kmを完歩しようとは、思ってはいませんでした。50か60km歩ければよいと考えていました。Tさんが前年の大会では、50kmでリタイアした事を知っていたので、それ以上歩ければTさんに顔が立つと考えていたのです。
一緒に歩いてくれる人を社内で募集しました。こんな苦しい事に参加する人などイルとは思っていませんでしたが、なんと3人の応募が有りました。62歳のTさんと31歳のI君と27歳のS君です。出発地は愛知県安城市で、8時に出発し伊良湖岬の先端を目指しました。

50kmあたりまでは何とか順調でしたが、そこから先が苦闘の始まりでした。腰が痛くなり、すねが痛くなり、ふくらはぎが痛くなり、足の裏が痛くなり、最後には脚全部が痛くなりました。一歩あるくのがつらく、痛みとの長い戦いになりました。
27歳と31歳の若者組みと、58歳と61歳の年寄り組みの、体力の差はいかんともしがたく、だんだんと差が開いていきます。途中で待ってくれているのですが、すぐに差が開きます。年寄り組みの惨状を見兼ねたのでしょうか、若者組みが年寄り組みの脚を揉んでくれると言うのです。
自分は体がひどくて他人を気遣うどころでないのに、彼らは自分の休憩時間を潰して、仲間を助けようとしているのです。私は大変驚きましたが、素直にしてもらう事にしました。
私と若者組みとの決定的な差は、私は50か60km歩ければよいと思っていたのに、彼らは100kmを歩ききるぞとの、強い意思を持っていたのです。
私は100km歩くことの意義が、少し分かったような気がしました。単にゴールに到着することが目的ではなく、高い目標を持ち、仲間と助け合って、共に努力することが100km歩行の目的ではないでしょうか。
28時間25分で4名そろってゴールできた時、嬉しくて涙が出ました。こんな感動は私の人生の中でもそう多くはありません。つらく苦しかった分、喜びも大きかったのだと思います。

翌年は七尾から小松までの100km歩行大会に参加しましました。弊社からの参加者は少し増えて7名となりました。昨年のメンバー4人にプラスして、32歳のT君、26歳のK君、24歳のH君です。皆体力自慢の若者ばかりですから、快調に飛ばせると思っていましたが、100kmはそう問屋はおろしません。
45kmを過ぎたあたりから、K君の様子がおかしくなりました。靴が合わず、足の裏に大きなマメを造り、痛みのため極端にペースが落ちてしまったのです。TさんとK君には先に行ってもらい、5人で55kmのチェックポイントを目指しました。しかしチェックポイント数km手前でタイムアップとなり、収容車に乗せられてしまいました。
この時点で我々5人はリタイアです。チェックポイントでK君の手当てをし、車で帰ってもらいました。残った4人はこれからどうするのか話し合いましたが、真夜中で電車もバスもありません。そこでリタイアしたけれど、ゴールを目指すことにしました。
ここから我々4人の快進撃が始まったのです。充分に休んだ事もあって、驚異的なペースで、休憩所でもほとんど休まずに歩き続けました。80km地点では先行していたTさんやK君にも追いつき、制限時間内にゴールすることが出来ました。完歩ではありませんが、私たちは完歩と同様の達成感を得る事ができました。
翌日の朝礼で参加者に100kmの感想を発表してもらいました。リタイアしたK君は、自分の準備不足でみんなをリタイアさせて済まないと言いました。その次に発言したS君は、K君はリタイアしていない、最後まで歩こうとしていた、と発言したのです。私はS君のこの発言に感動しました。こんな発言が出来るS君をかっこいいと思いました。
さて2年前の歩行大会もさまざまなドラマがありました。さらに4名増えて11名での挑戦です。100km歩行委員会を立ち上げ、3回の合同練習を実施しました。リタイアは1名だけでしたが、その内容は波乱に富んだものでした。
女性ではただ1名参加のYさんがギブアップ寸前で、I君が荷物を持ってあげました。新入社員のF君もいつリタイアしてもおかしくない状況で、T君が荷物を持ってあげました。これまで3回完歩のTさんが90km地点で足に故障が出て、杖を突きやっと歩く状態です。元気なI君がYさんの荷物に加えて、Tさんの荷物も持ってくれました。
トラブルが続きましたが、みんなの協力で10人そろってゴールする事ができました。私は100kmを歩ききる事はできたのですが、他人の荷物を持つなどと、自分から言い出す事ができず、とても悔しい思いをしました。

さて昨年の100kmですが、さらに2名増えて13人での挑戦になりました。また他に4名がボランティアとして、大会運営に参加しました。今回も合計3回全員で練習したのに、あまり成績は良くありませんでした。47km地点で1人脱落、58km地点で3名脱落、89km地点で4名タイムアップとなり、ゴールできたのは5名だけでした。
私は4回100kmに挑戦しましたが、いずれの大会もつらく、経験を積んだから慣れるといったものではありません。しかし100kmという大きな目標にチャレンジすることは、仕事や人生のチャレンジにもつながります。仕事や人生の目標は、ある意味100kmより大きく困難です。またつらく苦しい経験を共にした仲間には、強い連帯感が生まれます。意義が分からず始めた100kmですが、今は大きな意義を感じています。